消費税の基本構造(超重要)
消費税はこうやって計算されます。
売上にかかる消費税 − 仕入や外注にかかる消費税 = 納税額
ここで決定的に重要なのが👇
- 給料(人件費) → 消費税がかからない(非課税)
- 外注費・派遣費 → 消費税がかかる(課税仕入)
この違いが、企業行動を大きく歪めます。
正社員 → 派遣社員に切り替えると何が起きるか
正社員を雇う場合
- 給料:消費税 かからない
- でも
→ 売上にかかる消費税はそのまま満額発生 - 結果
→ 消費税の引き算ができず、納税額が増える
派遣社員に切り替える場合
- 派遣会社への支払い:
→ 外注費扱い=消費税10%が乗る - その消費税は
→ 「仕入税額控除」として差し引ける
📌 つまり
同じ仕事をさせていても
- 正社員 → 消費税が減らせない
- 派遣 → 消費税を減らせる
👉 税金面では派遣の方が有利
「給料が多いほど消費税が増える」の正体
少し正確に言うと👇
❌「給料に消費税がかかる」
⭕「給料は消費税を減らす材料にならない」
なので、
- 正社員を増やす
- 給料を上げる
→ 企業の消費税負担は軽くならない
一方で、
- 外注・派遣を増やす
→ 消費税を引ける=節税
結果として
👉 給料を抑える会社ほど、消費税が減る構造
正社員と派遣社員の賃金格差が拡大する理由
- 派遣会社への支払いには消費税がつく
- その分、派遣元企業は「税金上は得」
でも👇
- 派遣会社も利益を取る
- 消費税10%分もどこかで調整される
しわ寄せはどこへ?
👉 派遣社員の給料
これが
- 同じ年齢
- 同じ仕事
でも
時給が倍近く違う
という図②の背景です。
年収と婚姻率の関係につながる
- 正社員が減る
- 派遣・非正規が増える
- 年収が伸びにくくなる
すると👇
- 結婚できない
- 結婚を先延ばし
- 子どもを持てない
📉 結果
- 婚姻率の格差
- 少子化の加速
👉 「個人の努力」では説明できない構造問題
を示しています。
よくある誤解の整理(大事)
❌「派遣会社から会社が手数料をもらう」
これは逆です。
- 会社 → 派遣会社にお金を払う
- 派遣会社が
- 手数料(マージン)を取り
- 残りを派遣社員の給料にする
そして
- 派遣社員の給料 → 非課税
- 派遣会社への支払い → 課税
この二重構造がポイント。
まとめ(一文で言うと)
消費税は「人を直接雇う企業ほど不利で、雇用を外注する企業ほど得をする税制」
その結果として
- 正社員削減
- 派遣・非正規の増加
- 賃金格差の拡大
- 婚姻率・出生率の低下
👉 消費税は中立な税ではなく、雇用形態を歪める税になっている
消費税が壊した雇用 ― 他国と比べて見える日本の異常さ
「正社員を減らし、派遣社員を増やしたほうが会社は得をする」
これは経営者の倫理の問題ではなく、税制がそう誘導している結果です。
では、この仕組みは日本だけの問題なのでしょうか。
結論から言うと――
ここまで露骨に雇用を歪めている国は、かなり珍しいのです。
日本の消費税が抱える決定的欠陥
日本の消費税には、他国と比べて致命的な特徴があります。
- 人件費(給料)には消費税がかからない
- 外注費・派遣費には消費税がかかる
- 外注費の消費税は「仕入税額控除」で差し引ける
つまり、
人を直接雇うと税金が減らせず、
人を外に出す(派遣・外注)と税金が減る
という逆インセンティブが働きます。
この結果が、
- 正社員削減
- 非正規雇用の急増
- 賃金格差の固定化
- 婚姻率・出生率の低下
につながっているわけです。
他国はどうしているのか?
① ヨーロッパ(付加価値税VATの本家)
EU諸国も日本と同じく「付加価値税(VAT)」を採用しています。
しかし、日本とは前提条件がまったく違います。
社会保険の企業負担が重い
- 正社員を雇うと
→ 高額な社会保険料を企業が負担 - その代わり
→ 雇用は「守るもの」という思想が強い
👉 税制と労働政策がセット
派遣や短期雇用はありますが、
- 同一労働同一賃金
- 派遣の期間制限
- 正社員への転換義務
など、出口が必ず用意されています。
② ドイツ:派遣は「一時的な例外」
ドイツでは派遣労働は、
- 原則一時的
- 長期化すると賃金引き上げ義務
- 正社員と同等の待遇を要求される
企業が
「節税のために派遣に置き換える」
という発想自体が成立しにくい仕組みです。
③ フランス:正社員が前提の社会
フランスは失業率が高い国として知られていますが、
- 正社員の解雇規制は非常に強い
- 派遣は補助的存在
- 税制上、派遣が圧倒的に有利になる仕組みはない
👉 雇用を不安定にして税金を浮かせる設計ではない
④ アメリカ:そもそも消費税がない
アメリカには国税としての消費税(VAT)は存在しません。
- 売上税は州税
- 仕入控除の概念がない
- 雇用形態で税制が歪むことがない
その代わり、
- 医療
- 年金
- 失業
は個人責任が重いですが、
少なくとも「派遣にすると税金が得」という構造はありません。
なぜ日本だけここまで歪んだのか?
理由はシンプルです。
- 消費税を「社会保障財源」と言いながら
- 雇用政策と切り離して導入した
- 企業側の行動変化を想定していなかった(or 無視した)
結果、
税収を確保するための消費税が
社会そのもの(結婚・出産・人生設計)を壊している
という本末転倒な状況が生まれました。
この問題は今後、変えられるのか?
結論:変えられるが、放っておけば変わらない
考えられる改善策はすでに明確です。
① 人件費も「付加価値」として扱う
- 給料を支払った分も
→ 何らかの控除対象にする - 正社員を雇っても不利にならない設計
② 派遣・外注の仕入控除を制限
- 人件費目的の外注は控除対象外
- 節税目的の派遣切り替えを防ぐ
③ 同一労働同一賃金の本格導入
- 派遣だから安くていい、を不可能にする
- 結果として派遣乱用が減る
本当の問題は「気づいているかどうか」
この問題は、
- データでも
- 統計でも
- 現場感覚でも
すでに答えが出ている話です。
それでも変わらない理由は、
「税金の話は難しい」
「自己責任の問題にすり替えられる」
から。
しかし実際は、
- 結婚できない
- 子どもを持てない
- 将来が描けない
その背景に、税制という見えない設計ミスがある。
おわりに
消費税は「中立な税」ではありません。
少なくとも日本では、
雇用を壊し、格差を固定し、少子化を加速させる税
になっています。
これは思想の問題ではなく、設計の問題です。
そして設計は、人が変えようとしなければ、変わりません。