私が最後に働いていたのは、大阪のテーマパーク。しかもコロナ禍が収束するかという時期に派遣社員としてでした。華やかなイメージとは裏腹に、現実はなかなかハードなものでした。
その直前の派遣先が雇止めになったので、テーマパークが次の派遣先としてあてがわれることになりました。
なので自主的にテーマパークで働きたかったわけではなく成り行きです。
出勤までの長い道のり
朝は自炊の朝食から始まり、体温を測って派遣会社にSMSで報告。その後、最寄り駅ではなく、わざわざ遠いJR駅まで歩いて電車に乗ります。直通で乗り換えなしで行けたからです。テーマパークに着いてからも、従業員専用口の長蛇の列に並ぶところからスタートです。
狭すぎるロッカー事情
毎日、多くの人が入社して来ました。何も置いていなかった通路にロッカーをすら~と並べられました。あとからどんどん働く人を補充していました。
派遣スタッフを入れすぎた結果、ロッカーを置く場所が確保できなくなってしまったようです。ロッカーと着替室が別々でしかも遠く離れた場所にあり毎日がうんざりしました。
廊下に並べられた派遣社員専用ロッカー。なんと3人で1つを共用。細身タイプで上下に真っ二つに割った大きさの小さいロッカーです。
靴も私服もぎゅうぎゅうに押し込むしかなく、直接雇用のスタッフが普通サイズの個人ロッカーを持っているのと比べると、あまりに不公平でした。着替え室も共同で、テーブルを並べただけの簡易スペース。朝は人であふれ、場所を確保するのも一苦労です。
勤務スタートまでに消耗
制服や小物を借り、身だしなみチェック。パーク内にバスが通っていたけど満員で乗る気が起きず、1kmを徒歩。勤務場所に到着すると検温を済ませ、ようやく勤務開始。仕事そのものも楽ではありませんが、それ以上に「始業前の準備」に体力も時間も奪われました。
一連の流れは、制服をと小物を別々に借りる⇒着替え室に行って制服に着替える⇒離れたロッカーに私服を入れる⇒従業員用の建物から勤務場所まで歩く、といった具合です。
終業後はこの逆のパターンです。仕事以外の作業に手間と時間がとられてしまいます。
実質の時給は…
派遣の方が直接雇用されるよりも時給は高めに設定されていました。それでも決して高いとは言えません。
派遣の時給は1500円と一見高めに思えます。ですが、往復の通勤・着替え・準備を含めると約3時間は「無給の作業時間」。計算すると実質時給は858円ほどにまで下がってしまいます。そこからさらに社会保険料などを引かれるのですから…正直、割に合いません。
帰りの電車の中では疲れ果てて毎日寝入っていました。自宅から駅までの往復とテーマパーク内の移動距離で1日8000歩は歩いていました。いい運動になりました。
テーマパークの魅力がわからない
キティちゃんもマリオもハロウィーンもハリーポッターも何がそんなにいいのか良さが理解できなません。ローラーコースターなど遊具にも昔、何度か乗った記憶があるし何度乗っても同じ。何より人混みが苦手な人にとっては楽しいどころか疲れるだけ・・。
アトラクションも何が魅力的なんだろう?一時的な喜びやストレス発散にはなると思います。
行き帰りの往復は広大な園内を人混みをかき分けて移動するだけでどっと疲れました。正直「テーマパークって何が楽しいんだろう?」と感じてしまうほどでした。好きなテーマがあれば楽しいんでしょうが、私はその「好き」がわからない。
私の感覚では人がこぞって集まる場所は忌避すべき場所です。不要な刺激が入ってくると頭が疲れる。
もし誘われて訪れるとしたら楽しいふりをするのでしょうが自分からは行きません。
同じくテーマパークに限らず、人混み恐怖みたいな人は結構な数、居るんじゃないかと思っています。
上記のような環境面でのことを思うと、私みたいなタイプの人にはおすすめできません。
テーマパークの雰囲気や催し物が大好きで何回も行ってみたい!という人にはうってつけです。しかし、客として遊ぶのとそこで働くのは別次元です。
私が度々目にしたことがあります。職場の誰もいない保管庫で泣いている若い女性がいました。お客さんに何か酷いことを言われたのか、それとも先輩から?他にも泣いている人を何人も目撃しました。事情はわかりませんが職場で泣いている人なんて今まで見たことが無かったので、なんでだろう?と。
テーマパークが楽しいのはそこで働く人(クルー)の苦悩を土台に成り立っていると言っても過言ではありません。
やりがいを餌に薄給で雇われて搾取、疲弊するなんてまっぴらです。
もう辞めた今となってはどうでもいいことですが、参考まで。