現代の医療では「病気は偶然に起こるもの」という考え方が強くなっています。
だからこそ、人間ドックや脳ドックで「早期発見・早期治療」が重視されます。
けれども、「すべてが偶然」だとしたら、いつどこでどんな病気になるか分からず不安ですよね。
一方で東洋医学には「体質の傾向から病気のなりやすさを知る」という考え方があります。これを 八綱弁証(はっこうべんしょう) といいます。
八綱弁証ってなに?
人の体を大きく4つの視点から見ます。
- 体温が高い → 熱証(ねっしょう)
- 体温が低い → 寒証(かんしょう)
- 体力がある → 実証(じっしょう)
- 体力がない → 虚証(きょしょう)
この組み合わせで「4タイプ」に分けられます。
さらに「症状が体の表に出ているか/内側に出ているか」を加えると、全部で8種類になります。これが「八綱弁証」です。
つまり、あなたの体質はある程度パターン分けでき、その傾向から「どんな病気になりやすいか」を推測できるのです。
以下に八綱弁証を図解します。

リウマチになりやすい人は?
例えば、自己免疫疾患のひとつ「リウマチ」。
リウマチになりやすい人には共通点があります。
- 体温がやや低め(36℃前半くらい)
- 体力はやや弱め(虚証気味)
- 加工食品や甘いものを長く食べ続けている
この条件が重なると、自己免疫が乱れてリウマチになりやすくなると言われています。
ポイントは「年齢」よりも「生活習慣を続けた年数」です。
たとえば5歳から30年間お菓子を食べ続けた人は、35歳頃に発症するかもしれません。
逆に大人になってから食生活が変わり、30年間加工食品をとり続けた人は60歳頃に発症する可能性がある。
つまり、「その人がどんなものを食べ、どう暮らしてきたか」が大きく関係するのです。
格闘技は実証と熱証の人
体温が高くて体が強い人、プロレスラー、プロボクサー、力士とかに多いです。虚証でプロレスラーはまず居ない。実証で熱証だとスポーツマン向きです。ボクサーやプロレスラーが試合中に額が割れて血を流してるのに格闘を続けることができるのは実証+熱証だからです。投げ飛ばされて傷を負って血みどろになりながら痛みに耐えて試合続行・・。普通の人にはまず不可能です。赤血球が沢山作れるから過呼吸になっても酸素を沢山取り込めます。息が上がらないわけです。当然白血球もたくさんあるし血小板もたくさんある。そうすると凶器攻撃されて傷ができたところに細菌感染しても白血球がちゃんと攻撃して細菌をバクバク食べて血小板でペタペタと埋めるわけです。怪我に強いとか出血に強いとか感染に強いです。
この体力モリモリな実証+熱証の人が最強かというとそうでもないんです。実はこの人たちが一番短命なんです。一番多いのは脳梗塞・心筋梗塞。つまり若い時はまだ動脈効果などにはなっていないからいいんです。傷口があっても血管をどんどん修復してくわけですからどんどん血管が細くなってくわけです。体が丈夫で無理が効くから無茶なことするわけです。そうするとある時ギュっと血管が詰まってしまって心筋梗塞とか脳梗塞になるんです。なので例えばオリンピックのゴールドメダリスト、さぞかし寿命が長いように感じるんですけど実はゴールドメダリストの平均寿命って54歳ぐらいなんです。心筋梗塞とか脳梗塞とか大動脈解離とかくも膜下出血とかそもそも高血圧です。こういう人が多いんです。その真裏が虚証で体温 が低い寒証の人。これはズバリうつ病です。

うつ病と癌患者は低体温の人
うつ病の人はだいたい体温が低い傾向があります。体力がなく虚証の人です。体温を低くするためにどうしたらいいかというと糖分を摂ると体温が低くなります。うつ病の人はお甘いお菓子を食べたりとか果物を食べていたり清涼飲料水が好きだったりします。そもそも砂糖をたくさん取ると短鎖脂肪酸というのを作る腸内細菌がすごく少なくなって短鎖脂肪酸が少なければ少ないほどうつ症状になるんです。うつの人はそういうものを好んで食べているのではないでしょうか?一番良くないのは清涼飲料水とかアイスクリームを食べること。冷たい凍っているものが好きだという人はやはりうつ病が多いわけです。

今度は同じ実証でも寒証の体温が低い人。もうこれはすごく分かりやすい、癌です。癌細胞っていうの38.5度以上になるとほぼ死滅します。ただし寒証なので余程のことがない限り平熱は37度以上には普通は絶対にならないです。なったら熱射病になってしまいます。 実証の人というのはエネルギーが強いから癌細胞も増殖するスピードが早い。しかも体温が低いから癌の増殖が止まらないっていう人が多いんです。
出にくい病気の組み合わせ
うつ病や双極性障害というのは虚証で寒証の人がなりやすいです。うつ病の人が脳梗塞の発作で亡くなりましたとかは稀です。なぜなら脳梗塞は実証で熱証の人が罹りやすいからです。体力があっていつも元気な人、体温が高めの人です。元気はつらつなのに鬱々と悩むなんて矛盾しています。
脳梗塞の人が癌になったとかも非常に少ないです。脳梗塞の人が最期は直腸癌が急速に悪化して死んでしまいましたとかはあまり聞きません。両方の病気を併発することは稀です。なぜなら熱証(体温が高め)の脳梗塞と寒証(体温が低め)の癌は逆だからです。
表層と裏層で症状の出方が異なる
表証・・体の表面
裏証・・体の中
アトピー性皮膚炎は表証として現れ 潰瘍性大腸炎は裏証として現れます。両方同時には起こりにくいのです。
毒を外に捨てているか、中に捨てているかの違いなんです。
※アトピーは八綱弁証でいうとここ!とひとことでは言えずどのタイプでもなる可能性があります。
家族で同じ病気になるのはなぜ?
「親もリウマチだから私も…」と思う人もいますよね。
けれども遺伝子は複雑で、兄弟でも体質が全然違うことはよくあります。
実は「家族で同じ病気が出やすい」のは 体質の遺伝 だけでなく、
- 同じ食事をしている
- 同じ生活習慣をしている
こうした共通点が大きいのです。
つまり、同じ家族でも「証」が違えば、同じ食生活をしていても全く別の病気になることもあります。
同じ病気を繰り返す理由
東洋医学では「その人の体質が悪化すると、同じ種類の病気を繰り返しやすい」と考えます。
- 脳梗塞を繰り返す人
- がんが再発する人
- うつ病で入退院を繰り返す人
これらは、持って生まれた「証」に合った病気が、その人の弱点を狙うように出ているのです。
上で言ったように「うつ病の人が急に直腸がんで亡くなった」などはほとんどありません。
生活習慣で「証」は変わる
「体質だから仕方ない」と思う必要はありません。
生活習慣で体質を中庸(ちゅうよう=バランスの取れた状態)に近づけることができます。
例えば虚証・寒証(体力がなく冷えやすい人)の場合:
- 冷たい飲み物やアイスを控える
- シャワーだけでなくお風呂に入る
- 適度に体を動かして代謝を高める
こうした積み重ねで「弱い部分」を補うことができます。
また、甘いものの摂りすぎは腸内環境を悪化させ、うつ傾向を強めると言われています。
「甘いものをやめたら気分が安定した」という人もいるくらいです。
東洋医学の考え方:未病を治す
西洋医学:病気になってから「早く見つけて治そう」
病気偶然発症説を捉えているといつどこでどんな病気になるのか全くわからないので怖くてしょうがない。だから人間ドックを受ける、脳ドックを受ける。そして病気が起こってしまって軽いうちに早く直そう、早期発見早期治療と言います。でも病気になってからでは遅いのです。
東洋医学:病気になる前の「なりやすい状態(未病)」を見つけて整えよう
これが大きな違いです。
八綱弁証を知ることで、あなたが将来なりやすい病気を予測し、日々の習慣を変えるヒントになります。
「偶然」ではなく、「体質と習慣の積み重ね」で病気は起こる――東洋医学はそう教えてくれています。
👉 まとめると:
病気は「偶然」ではなく、体質+習慣の組み合わせで起こりやすい
八綱弁証(体力・体温・症状の出方)でタイプが分かる
同じ食事でも「証」が違えば同じ病気にはならない
生活習慣を工夫すれば「弱点」を補い病気を防げる
私の体質と罹った病気
私は体質的に熱証です。体温は36.7度~37度が平熱です。上の八綱弁証の図で見ると口腔内乾燥症になりやすいということになりますが自覚はありません。緊張していると口が乾くくらいです。小学校時代の予防接種は体温が37度を超えていることもあったので、風疹の注射やその他の接種は何度か逃しました。受けていないからと言って風疹などの感染症には一度も罹っていません。
体力はどちらかというと虚弱体質です。呼吸が弱く、小さい声でしゃべる、顔色に赤みがない、消極的、委縮しやすい、汗っかきで水分代謝がいい、軟便体質という虚証の特徴が当てはまっています。ずっと痩せ体型で疲れやすい自覚があります。体温が高く癌にはなりにくいと言えます。ただ食習慣が変わると寒証になって癌になる可能性が出てきます。熱証とはいえ虚証なので冷えには弱い傾向があるので注意が必要です。
昔、喘息になったことがありました。その時はのどが乾いたら牛乳を水のようにがぶ飲みしていました。他にも冷たい飲み物を飲んでいました。加えて職場のストレス。なんだかいつも暗く鬱々していたのも全部自分の性格のせいだと思っていました。甘いお菓子はあまり食べてはいなかったけど甘いフルーツ、バナナやりんごやみかんなども体にいいはずだと思って結構食べていました。元々、体質は熱証なのに冷たい飲み物や体を冷やす食習慣で体温は下がり、寒証寄りに変化し、ストレスも加わり喘息になったというわけです。冷たい飲み物や甘いものを控える食習慣にしたら喘息は治っていきました。これが熱証の実証だと、冷たい飲料を飲んでも短時間で冷えた体温を上げることができるので喘息にはならないようです。
自分の体質を知ることが大切です。体質に逆らった生活習慣は思わぬ病気を引き起こします。病気はなってから治すのではなく未病のうちに防ぎましょう。